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Blogger's Avatar  2010-10-19 1:22
 カレンダー的には3連休だった週末,急性腸炎になってしまい,38度台の熱と腹痛で大変でした。具合が悪いと思いながら,カウンセリング/心理療法の予約に穴は開けられないので,金曜に無理をして仕事をしたら,土曜日にしっかり悪化してくれた。ノロウィルスとかインフルエンザとか,感染性の強いものはクライエントさんにうつすといけないので事情を話して休みますけどね。ちょっとやそっと具合が悪くても,セラピストのキャンセルというのは関係性を中心にいろいろ影響があるので,そう簡単には休めません。ただ,意識がもうろうとして面接に支障をきたすようなら,やむを得ないかなと思うけど。まあ,平熱が低い僕にとっては,38度って充分もうろうなんだけど,なぜか面接の時は大丈夫だったりする。
 さて,9月の下旬に,クリエイティヴ・セラピー関連の合宿研修があった。何度か書いているけど,クリエイティヴ・セラピー(創作療法)は創作コラージュ療法が中心になることが多い。それは,心理検査としての高度なアセスメント技法でもありながら,心理療法としての活用でも積極的なフィードバックによる有効な成果をあげているという,カウンセリング/心理療法の両輪といってもいいアセスメント+サイコセラピーの両面を備えているからだ。でも,今回は創作コラージュ療法についてはあまり触れず,ドイツ語文化圏では中心的な心理検査として使われておりバウムテストを超える評価を得ているといわれる,ワルテッグ・ツァイヒェン(一般には「ワルテッグ描画テスト」として知られる)の分析技術の向上を中心的な目的としていた。ワルテッグ・ツァイヒェンは空間象徴理論を背景として8つの描画枠の組合せで,心理状態やパーソナリティ傾向を読み取っていく。この空間象徴理論の応用は非常に巧みに構成されているので,このアセスメント技術の向上は,同様の空間象徴理論を活用している創作コラージュ療法の分析技術の向上につながるということになる。
 コラージュ作品の分析技術が向上するということは,クライエントさんの作品が創作されている経過を見ながら,セラピストがその作品の分析をもとに心理療法としての作品を並行して創作していく技術につながるので,アセスメント技術の向上がサイコセラピー技術の向上につながるというわけだ。夢分析(ドリームワーク)でも同様のことが言える。クライエントさんの夢を分析しつながら,それに基づいてドリームワークの技法で積極的に夢を展開していくことで気づきが生まれ,心理療法となる。このあたりが,僕が「夢分析(ドリームワーク)と創作コラージュ療法を専門とする」と掲げていることの理由のひとつでもある。もちろん,必要に応じていろいろ使うけれど,アセスメント+サイコセラピーという両面を統合的に用いていくことは,カウンセリング/心理療法の本質的な改善を促進するものと考えている。
 アセスメント技術の向上というのは,心理検査に限らず,クライエントさんの総合的な見立てをしていくことだし,的確な見立てなくして的確なカウンセリング/心理療法というのは,ほぼあり得ない。しかし,どうもアセスメントとサイコセラピーという両面は,どこかで切り離されやすいように見える。大学院の授業などでは,アセスメントは心理検査法として,何か独立したもののように扱われる印象があるから無理もないのかもしれないけど,例えばプレイセラピーの中にアセスメントの要素というのはふんだんに含まれているし,普通に心理面接をしていてもそれは変わらない。まあ,アセスメントの視点を持ちすぎるサイコセラピーの弊害というのもあるけれど,それは関係性によく注意していれば回避できるものでもあるし,アセスメント+サイコセラピーの統合的活用というような視点を持っていくことは,カウンセリング/心理療法の質を大きく高めることにつながると強く感じている。

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