宮城・茨城沖大地震,その後の長野・新潟地域の地震に際して,大変驚きました。僕の地域では震度5弱とのことですが,それでもたくさんの物が落ちて壊れたりして,片付けが大変です。まあ,本棚は全部天井突っ張りタイプ(?)にしていたり,それなりに地震対策はしていますが,初めて経験した震度なのでやはり動揺してしまいました。宮城方面では甚大な被害が出ていますし,東日本各地で様々な被害がでています。被害に遭われた方には,お悔やみとお見舞いを申し上げます。
今回は,災害時の心理的な注意ということで書いていますが,ほとんどは出回っている情報や,これから出回りうる情報への注意喚起ですので,今回は事情が特殊だと考えてください。まず,災害時には,誰もが動揺したり不安になったりします。それは当然のことですし,自然な反応です。しかし,世の中にはそこにつけ込んである種の悪質ないたずらを仕掛けてくるような人たちが,少数ながらいつでも出てきます。そして,この不安が高まるような状況下では冷静な判断ができず,そのいたずらに踊らされてしまい,その片棒を担がされるような結果にもなりかねません。ですから,できるだけ落ち着いて,情報の正否を確認してから行動することが重要です。また,そのようないたずらは,善意の仮面をかぶって「これは必要な情報だ。みんなに知らせなくては!」と思わせるような内容であることが多いのです。これは,相手の善意を心理的に利用する悪質なものです。そのようないたずらに左右されないように,情報の判断にはよく注意していきましょう。
よくあるのは,チェーンメールといわれる方法です。不幸の手紙方式で,「安全を守るために重要な情報なので,友達みんなに回してください」という感じで書かれてきます。その背景には,前述したような悪質ないたずらの意図がある場合が多いです。新潟県中越地震の際には,現地のボランティアからの情報を装ったメールが大きく出回ったのが有名ですし,現在は,石油コンビナートの災害の影響で危険な化学物質が雨に混じって降ってくるという注意喚起のメールが出回っていますが,これも根拠のない情報ということです。その他にも未確認ですが,デマ情報が出回ったり不安から「こんなことがあるかもしれない」と話しているのを誰かが誤解して聞いて「こんなことがあるから注意して!」という話に変わっているということもあります。以前,銀行がつぶれるという噂で騒動になったこともありましたし,人の不安というのはやや妄想的な側面をもつと思います。実際,このような緊急時には過度のストレスがかかり,一時的に不安に基づく妄想が高まることも考えられます。人の善意から,このような噂が広まることもあり得ますが,だとしても,人々の不安をあおる結果になることは同様ですので,どうかそのような情報を受けたときは冷静に正確な情報を確認するようにしてください。
また,チェーンメールの根拠として,報道機関の欠陥を挙げたり,政府が情報を隠蔽しているといった理由づけがされることがあります。確かに,全体としてみれば報道の仕方に問題があることや政府が全ての情報を公開していないといったことはあり得ると思いますが,それでもこのような災害時には特に,報道や政府の会見,あるいは噂の対象となっている地域の自治体や会社・団体等の公式サイトで情報を確認することが重要だと思います。あと,災害情報を装って偽サイトに誘導してコンピュータ・ウィルスに感染させるような悪質なメールが出回ることも予想されます。これらのメールも安易に添付ファイルを開いたりリンクをクリックしたりせずに,前述したような方法で情報を確認するようにしてください。このような間違った情報が広まると,二次災害などに発展することもあり得ますので,くれぐれも注意してください。