前回,野口整体を通して心身の変化が起こっていることをお伝えしましたが,弛緩反応期と呼ばれる時期がある程度落ちついて,身体が緩んで楽になってきました。その過程で,本来の自分を取り戻していくような感覚があり,心理臨床家としての方向性を見つめ直す機会にもなったと思います。その方向性も定まってきたので,今月もまたお待たせしてしまったのですが,今回は僕自身のこれからの方向性について書いていきます。
このブログは,僕が臨床心理士を目指した頃から連載という形でサイトに書き始めた,「臨床心理士への道」という名称のものから始まっていて,ブログ内のアーカイブをたどると当時の記事も読めます。当初から読んでいる方などは,もともと僕が占術師をしていて,その実践の中で臨床心理学を志すようになった経緯を知っていると思います。臨床心理士を目指してからは,占術師としての仕事は縮小して心理臨床家として成長することに専念してきたわけですが,将来的には占術の基盤である運命学と臨床心理学を組み合わせる形でより多角的に人々のサポートをしていきたいと考えていました。ただ,臨床心理士となってからも学ぶことは多く,経験を重ねて自分で納得のいくところまで成長するためには時間が必要でしたし,諸事情も重なり,安易に双方を組み合わせることにも慎重になる必要がありました。そうしている内に臨床心理士としての仕事に忙殺されるようになっていたのですが,今回,本来の自分を取り戻していくプロセスの中で,臨床心理士を目指すようになった原点に帰ろうと考えるようになりました。
もうひとつは,心理臨床家としての方向性です。僕が臨床心理士を目指すようになったきっかけには,人間の成長可能性を信じてそれをサポートしたいという想いが大きくなったことがあります。それは当初から持ち続けている想いではありますが,カウンセリング/心理療法に対して,一般には精神疾患や何らかの症状・ストレスを抱えている人が受けるものといったイメージが強いこともあり,そのような方が来談されることが多いので,そのために様々な理論を学び技法を身につけてきたという感じがあります。もちろん,それも大切なサポートですしこれからも続けていきますが,もっと積極的に人間の成長可能性をサポートすることを前面に出していきたいと考えています。臨床心理学の中には,精神疾患や何らかの症状を抱えることが心の成長に必要なプロセスだという考え方もたくさんありますし,実際にそういった状態から回復していく過程で素晴らしい変革や成長を遂げる方もいらっしゃることも実感してきました。ですから,成長可能性をサポートするという方向性と,疾患や症状からの回復という方向性は矛盾なく両立できます。
大まかな方向性はこの2つで,具体的なことは,これから順次整えていきます。このブログでもお知らせしていくつもりですが,その動きは随時,「こころオフィス・盛田」サイト上にも表われていくことになりますので,関心のある方はそちらも時々ご覧いただけると嬉しく思います。僕の占術師としての活動を知らなかった方は,驚きを感じられるかもしれませんし,批判もあるかもしれませんが,僕の中では人々をサポートするという意味で,臨床心理士を目指した当初から両者の間に共通点を感じています。実際,トランスパーソナル心理学の分野などでは,両者を活かしながら発展させるような実践が行われ,研究もされてきています。ユング心理学的にいえば,この方向性が僕の「個性化の過程」ということになるでしょう。この新しい方向性を見守っていただければ幸いに思います。