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Blogger's Avatar  2015-10-27 23:29
 毎度のことながら,更新が遅れてしまい,申し訳なく思っています。季節の変わり目で寒暖の差が大きく,風邪がなかなか治らなかったり,個人的なテーマに取り組んでいて心的エネルギーの消耗が激しかったりで,なかなか外向きの活動ができないという感じです。みなさんも,これから冬に向けて乾燥が進みますし,身体の変調に気をつけてくださいね。今回は,葛藤とプロセスワークについて書きたいと思います。
 葛藤は,深層心理学系では重要なトピックになり得ると思います。葛藤が起こるというのは,心の中で相反するものが衝突したりするときの苦しみと言えますが,自我意識は,基本的に葛藤を解消する方向に働きます。フロイトが提唱した防衛機制は,広い意味ではこの葛藤を解消するための自我意識の働きと言って差し支えないと思います。中でも,神経症の原因のようにされる「抑圧」は,自我意識にとって都合の悪いものを無意識下に押し込んだものが蓄積されて,何らかの症状を引き起こすとされています。ユングは,無意識の自律的な働きを重視して,無意識やそこから派生する症状にも何らかの意味があることを見出そうとしました。意識の中心を自我,無意識の中心を自己として,心全体の中心である「自己」の働きによって,意識と無意識が統合されて心の全体性へと向かうことをサポートしようとしました。この過程を「自己実現」または「個性化」と呼んで,重視しました。

 プロセスワークはユング心理学の考え方を踏襲しながら発展させ,意識と無意識をそれぞれ,一次プロセスと二次プロセスと表現するようにしました。これらは同じ意味ではなく,簡単に言うと「本人が自分だと自覚している心の側面」を一次プロセスと呼び,そうでないものを二次プロセスと呼びます。意識と無意識も似たような対比なのですが,「プロセス」という言葉で意識と無意識の流動性をもたせたという感じです。プロセスワークも,心の全体性へと向かうことを志向しており,一次プロセスも大事にしながら,本人が自覚していない二次プロセスに気づき一次プロセスと統合する過程をサポートしていくのが基本姿勢です。二次プロセスが浮上してくると,一次プロセスとの間に葛藤が生じてきます。二次プロセスは,あるときは心身の症状であったり,葛藤状態にある対人関係の相手として現れたりします。心の全体性へと向かう働きはこのような形で,二次プロセスが統合されようと自律性をもって表れてきますので,二次プロセスに秘められている意味に気づいて一次プロセスに統合することを,プロセスワークはサポートします。

葛藤は苦しい状態なので,自我意識や一次プロセスは,それを避けようとするのが普通です。それは,日常を生き抜くための働きでもあるので,それもプロセスワークは大切に考えています。無理に二次プロセスを引き出すことはしませんが,心身の症状や対人関係のトラブルといった葛藤状況は,心の全体性に向かうあるステップが既に起きていることを意味しています。これを避けたとしても,その働きは消えないので,同じような形であるいは形を変えて再び表れてきます。反対に,しっかりそのテーマに取り組んで気づくことで何度も繰り返された症状や対人関係が解消することも多く見られます。プロセスワークでは「起きていることには意味がある」と考えますが,無意識が心の全体性に向かうためのメッセージを発していると考えれば,そのメッセージを受け取れば葛藤は必要なくなります。葛藤は,最初は苦痛に感じることもありますが,サポートを受けながら無理なく取り組めば,とても建設的で宝物にもなり得る気づきをもたらしてくれます。このような意味で,プロセスワークは葛藤と向き合うことで自己成長を進めてくれると言えます。

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