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Blogger's Avatar  2017-4-26 18:30
 今月も下旬の更新となりましたが,1〜2月の慌ただしさに比べると,少しペースができてきた感じですね。少しずつ,本来の更新時期になるようにしたいと思います。新年度に環境が変わったりした方は,5月あたりで疲れが出てくるので,ゴールデンウィークに休養をとったり,リフレッシュしたりできるように計画してみてくださいね。僕もなかなかここ数ヶ月の疲れが取り切れないので,オフィスもしばらくお休みをいただいてリフレッシュしたいと思います。今回は,対人援助職とパーソナリティについて書きます。
 対人援助職というと結構広い領域になりますが,カウンセラー/セラピストなどの心理や身体のケアはもちろん,教育や福祉などにわたります。前にも少し書いたと思いますが,このような仕事の場合,援助する側はその関係性において,プロセスワークで言う「ランク」の高い側に構造的に入ることになります。ランクが低い方からはそのランクを感じて,例えば遠慮したり従ったりするような心理が働きますが,ランクが高い方はなかなか自覚できないことが多くあります。ランクの高い方に自覚があれば,そのランクから降りるように関係性を意識していきますが,無自覚なままだと,その関係性で付与されたランクを乱用してしまいます。新年度に入ると,そういう対人援助職のランクの問題が目立つようになりがちで,最近もそういう話を複数耳にしています。そして,ランクの乱用は,その人のパーソナリティが色濃く反映されると考えられます。対人援助職を目指す人の中には,心理的な権威のようなものを得ることに無意識的な欲求を抱いていることがありますが,そういう人がランクをもつと権威的になります。そこに専門性を持ち込んで武器にするので,援助を受ける側の相手をその知識で決めつけたり,自分の思う方向にコントロールしようとします。

 カウンセラーの場合は,「説教する」という形で表れることが多く,これはクライエントさんも疑問を感じやすいのですが,教育の領域などでは「指導」という社会的な意味での関係性が働くので,複雑になります。本当に相手が良い方向に向かうことを願っての「愛情」なのか,ただ自分の権威を振りかざしたいだけの「暴力」なのか,簡単にわかりそうなものですが,いろいろな事情がからんだり表面的に望ましい形を装えたりすると,判断が難しい場合もあります。基本的には,その関係性の中でランクが低い側がそれをどう感じているかということが重要で,何らかの傷つきを感じているのであれば,ランクの乱用を疑ってみる必要があります。こういう判別は,パワハラやセクハラ,DVや虐待といった事例でも重要になりますが,ランクの低い方がある種のコントロールを受けていると,「これは自分のことを考えてくれているから」とか「自分が至らないので直そうとしてくれているから」という形で表面化しない場合もたくさんあります。この辺りにもパーソナリティが関係していて,関係性の中でランクが低い側におかれると,反対に何でも被害的に感じてしまうタイプの人もいるので,難しいところがあります。第三者的に,その関係性を理解したり援助したりしようとするのであれば,双方のパーソナリティとその関係性におけるランクの構造を総合的に見ていくことが大切になりますね。

 ランクの乱用に戻りますが,対人援助職の中でも,特に心理カウンセラー/セラピストの立場にある人は,自分のパーソナリティ傾向をよく理解しておくことが重要です。権威の欲求の中には,相手を依存させることも含まれますが,カウンセリング/心理療法で複雑になるのは,この依存という関係性の構造から抜けられなくなる場合です。クライエント側のパーソナリティに依存性が強いと,いわゆる共依存の状態に陥りやすくなりますし,開業している場合などは経済性のメリットもあるので,違う意味でもカウンセラー/セラピスト側の依存が起こったりもします。また,カウンセラー/セラピスト側のコンプレックスが影を落とすと,相手の人格まで否定するような言葉を浴びせる事例もあるので,よくよく自分自身のコンプレックスやユングの言う「影(シャドウ)」と向き合っていくことが大切だと思います。深層心理学では教育分析などの形で自分と向き合うことが重視されますが,継続的にしっかり取り組んでいる人は,残念ながらとても少数派です。クライエントさんは,自ずと自分と向き合うことになるのですから,カウンセラー/セラピストが普段から自分と向き合っていることで,ランクの自覚やそこから降りることもやりやすくなるんですけどね。あとは,カウンセラー/セラピストが自らのコンプレックスや欠点を自覚して,パーソナリティ的な成長に向けて努力を怠らず続けていくことが重要だと思います。自戒を込めて,対人援助職やそれを目指す人に何か伝わることを願っています。

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